2008年(平成20年)の日経平均株価です。
2008年は、リーマン・ショックによる世界的な金融危機が発生し、日本を含めた多くの国々で景気が悪化しました。日本経済も7年ぶりのマイナス成長となりました。
この金融危機は、リーマン・ショックと呼ばれるアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻がきっかけでした。
~リーマン・ショック~
リーマン・ショックとは、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻がきっかけで起きた世界的な金融危機です。
2008年はアメリカの住宅ローン市場で不良債権が発生しサブプライムローンが破綻し、世界中で金融不安が起きていました。最初はサブプライムローン大手のニューセンチュリー銀行が破たんし、その後フランス銀行最大手のBNPパリバがファンドの凍結を発表しました。
そのような状況下、2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが負債約64兆円で経営破綻し、世界中の金融機関に影響を与えました。
日本の銀行ではサブプライムローンの証券化商品の保有が少なく、310億ドルの損失にとどまりました。ただし、仕組債やヘッジファンド投資など外国証券の運用比率が高かった大和生命は、2008年10月10日に負債総額2695億円で倒産しました。
景気後退下により個人消費も落ち込み、生活必需品の価格の上昇し、政府は2008年8月の月例経済報告で事実上景気後退入りを認めました。
2002年2月に始まった、6年にわたる「いざなみ景気」は終わりを迎えました。
2008年の日本のGDPは525.8兆円で、実質GDP成長率は-0.7%でした。2005年は1.9%、2006年は2.0%、2007年は2.4%であり、2008年は大幅な下降でした。
原油先物相場がニューヨークで一時1バレル=100.00ドルを記録し、初の100ドル台になりました。
ガソリン価格高騰と金融危機が米産業界の象徴であるビッグスリー(3大自動車メーカー)の経営を直撃しました。
ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの3社首脳は米議会の公聴会に出席、政府支援を求めました。
また、ドル円相場では12年5ヶ月ぶりに2008年3月に、一時ドル=100円を割り円高が進行しました。年初の1月に1ドル=114.15円だったのが、12月には1ドル=87.45円まで円高が進行しました。
日経平均株価
日経平均株価は、年初の1月4日に14,691.41円、年末に8,859.56円(-6,448.22円、-42.12%)。安値は10月27日の7,162.9円、高値は年初の1月4日に14,691.41円でした。
1982年10月7日以来26年ぶりの安値水準を記録しました。
大きな値動き
2008年の日経平均株価の乱高下・暴落の件数です。
対前日の値幅率+2%以上は39回、値幅率-2%以上は47回発生しました。
対前日の値幅率+3%以上は20回、値幅率-3%以上は30回発生しました。
対前日の値幅率+4%以上は13回、値幅率-4%以上は19回発生しました。
対前日の値幅率+5%以上は9回、値幅率-5%以上は13回発生しました。
対前日の値幅率+7%以上は3回、値幅率-7%以上は4回発生しました。
対前日の値幅率+10%以上は1回、値幅率-10%以上は1回発生しました。
値幅率±3%以上
対前日の値幅率±3%以上の大きな値動きです。
2008年1月
年初の1月4日に前日比-616.37円(-4.03%)下落しました。
1月2日、原油先物相場の急騰が止まらず、ニューヨークで一時1バレル=100.00ドルを記録し、初の100ドル台になりました。
1月16日に前日比-468.12円(-3.35%)下落し、1月21日に前日比-535.35円(-3.86%)下落し、1月22日に前日比-752.89円(-5.65%)下落し、1月25日に前日比+536.38円(+4.10%)上昇し、1月28日に前日比-541.25円(-3.97%)下落しました。
1月の株価下落の理由は、アメリカの住宅ローン市場で不良債権が発生しサブプライムローンが破綻したためです。世界的な金融危機が発生し、株価の下落や低迷、信用逼迫などを引き起こし、世界中の金融市場に大きな影響を与えました。
1月21日、日経平均株価が-535.35円(-3.86%)下落し、さらにインド・ムンバイ証券取引所で平均株価が一日当たり過去最大の下げ幅を記録するなどアジア各地の証券市場が軒並み暴落しました。
1月22日、米連邦準備制度理事会(FRB)が世界同時株安に対応するため、フェデラルファンド金利の0.75%緊急利下げを行いましたが、祝日明けのニューヨーク証券取引所でも暴落しました。
翌23日、日本を含むアジア各国市場は回復も、ヨーロッパではヨーロッパ中央銀行が利下げに慎重な姿勢を示したため不安定な状況が続きました。
2008年2月
2月6日に前日比-646.26円(-4.70%)下落し、2月14日に前日比+558.15円(+4.27%)上昇し、2月20日に前日比-447.54円(-3.25%)下落し、2月25日に前日比+414.11円(+3.07%)上昇しました。
2008年3月
3月3日に前日比-610.84円(-4.49%)下落し、3月7日に前日比-432.62円(-3.27%)下落し、3月13日に前日比-427.69円(-3.33%)下落し、3月17日に前日比-454.09円(-3.71%)下落しました。
3月13日、円高が進み、東京外国為替市場で、1995年以来12年ぶりに一時1ドル=100円を割りこみました。
3月16日、ベア・スターンズが大手商業銀行のJPモルガンに吸収合併されることが発表されました。
2008年4月-5月
4月2日に前日比+532.94円(+4.21%)上昇し、4月14日に前日比-406.22円(-3.05%)下落しました。
5月29日に前日比+415.03円(+3.03%)上昇しました。
2008年9月
9月8日に前日比+412.23円(+3.38%)上昇しました。
9月8日、米政府による住宅金融公社2社の救済が決まり銀行株などが急騰しました。
しかし、リーマン・ブラザーズが破綻する1週間前に、リーマン・ブラザーズが債務不履行に陥る可能性があるとの懸念が広がりました。
9月16日に前日比-605.04円(-4.95%)下落し、9月19日に前日比+431.56円(+3.76%)上昇しました。
9月30日に前日比-483.75円(-4.12%)下落しました。
2008年9月の株価下落の理由は、リーマン・ショックによるものです。
9月7日、米政府が住宅公社救済策を発表しましたが、9月15日、リーマン・ブラザーズが破綻したことをきっかけに、世界中の株式市場が大幅に下落しました。
9月16日にはアメリカの最大手保険会社AIGの破綻を回避するために、米連邦準備制度理事会(FRB)が同社への最大で約850億ドルの融資を承認し、一旦株式市場は落ち着きを取り戻します。
9月18日、日米欧など6カ国がドル資金供給策を発表、9月20日、米政府が大手金融機関を公的資金で救済する金融安定化法案を発表しました。
しかし、9月29日、アメリカで金融安定化法案が下院で否決されました。これをきっかけに金融危機が世界的に拡大します。
それによりこの日のニューヨーク証券取引所ではダウ平均株価が終値で777ドル安の史上二番目の下げ幅を記録しました。
そしてこれに引っ張られ、世界各国の株価が暴落局面に入りました。
2008年10月
10月6日に前日比-465.05円(-4.25%)下落し、10月7日に前日比-317.19円(-3.03%)下落し、10月8日に前日比-952.58円(-9.38%)下落し、10月10日に前日比-881.06円(-9.62%)下落し、10月14日に前日比+1,171.14円(+14.15%)上昇し、10月16日に前日比-1,089.02円(-11.41%)下落しました。
10月7日、アメリカの金融危機のあおりを受けて株価が下落を続け、2003年12月以来、1万円を割り込みました。
10月8日の前日比-9.38%の下落率は、この時点で1987年10月のブラックマンデー(14.9%安)、1953年3月のスターリン暴落(10%安)に次ぐ過去3番目の下落率でした。
10月10日はニューヨーク証券取引所の急落の影響を受け下落率9.62%し、10月16日はブラックマンデーに次ぐ史上2位の11.41%の下落率でした。
9月29日の金融安定化法案の下院の否決を受け、アメリカ政府と上院は直ちに法案の修正を行います。
修正案では顧客の預金の保護拡大や税制優遇の措置、公的資金を受けた企業の経営者の報酬制限などを盛り込みます。
10月3日に下院での可決後、ただちにブッシュ大統領が署名し、金融システムに7,000億ドルの金銭支援を行う緊急経済安定化法は成立します。
また、10月には世界各国で金融危機の対策が実施されました。
~金融危機対策~
10月10日にはG7の財務大臣・中央銀行総裁会議、10月11日にはG20の財務相・中央銀行総裁会議が開催され、共通の方針が5つにまとめられた。
(1) 重要な金融機関の破綻を避ける。
(2) 資本増強を支援する。
(3) 銀行間取引の流動性を確保する。
(4) 預金保険の整備。
(5) 証券化資産の流通市場の再構築となった。ユーロ圏の15カ国は10月12日にパリで緊急首脳会議を開き、1兆8000億ユーロの銀行危機対策を決定した。
(1) 銀行への資本注入
(2) 銀行間取引の政府保証
(3) 不良債権の買い上げ
(4) 預金保護など
しかし、その後も株価は乱高下を繰り返しました。10月13日、ニューヨーク証券取引所のダウ平均株価が前日比936ドル42セント、11.08%上昇し、史上最大の上げ幅を記録しました。
10月20日に前日比+311.77円(+3.59%)上昇し、10月21日に前日比+300.66円(+3.34%)上昇し、10月22日に前日比-631.56円(-6.79%)下落しました。
10月24日に前日比-811.90円(-9.60%)下落し、10月27日に前日比-486.18円(-6.36%)下落し、10月28日に前日比+459.02円(+6.41%)上昇し、10月29日に前日比+589.98円(+7.74%)上昇し、10月30日に前日比+817.86円(+9.96%)上昇し、10月31日に前日比-452.78円(-5.01%)下落しました。
10月24日、ロンドン外国為替市場で一時1ドル=90円台、1ユーロ=113円台と、1995年8月以来13年3か月ぶりとなる円高となりました。
10月31日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.3%程度に引き下げることを決定しました。
2008年11月
11月4日に前日比+537.62円(+6.27%)上昇し、11月5日に前日比+406.64円(+4.46%)上昇し、11月6日に前日比-622.10円(-6.53%)下落し、11月7日に前日比-316.14円(-3.53%)下落しました。
11月10日に前日比+498.43円(+5.81%)上昇し、11月11日に前日比-272.13円(-3.00%)下落し、11月13日に前日比-456.87円(-5.25%)下落しました。
11月20日に前日比-570.18円(-6.89%)下落し、11月25日に前日比+413.14円(+5.22%)上昇しました。
11月9日、中国政府は2007年の名目GDPの16%に相当する4兆人民元の景気対策を打ち出しました。
11月23日、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融大手シティグループへ不良資産約3000億ドルを保証するなどの救済策を発表しました。
2008年12月
12月2日に前日比-533.53円(-6.53%)下落し、12月8日に前日比+411.54円(+5.20%)上昇し、12月10日に前日比+264.37円(+3.15%)上昇し、12月12日に前日比-484.68円(-5.56%)下落し、12月15日に前日比+428.79円(+5.21%)上昇しました。
12月16日、連邦準備制度理事会(FRB)が初の事実上のゼロ金利政策と量的緩和策を発表しました。
12月19日、日本銀行は政策金利の誘導目標を年0.3%から0.1%程度に引き下げ、ゼロ金利政策を導入することを決定しました。
主な出来事
社会
川田亜子アナウンサーが路上で練炭自殺、小室哲哉が5億円詐欺事件で逮捕され、飯島愛が自宅で急死、大阪府知事選挙で弁護士のタレントの橋下徹が初当選しました。
小林誠(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)、益川敏英(京都大学名誉教授)、南部陽一郎(シカゴ大学名誉教授)3名がノーベル物理学賞受賞、海洋生物学者で理学博士の下村脩(ボストン大学名誉教授)、『緑色蛍光タンパク質GFPの発見と開発』の功績により、ノーベル化学賞を受賞しました。
海上自衛隊のイージス艦が東京湾口で漁船に衝突し、7人が死亡した東京・秋葉原で無差別殺傷事件が起き、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤の死刑が執行され、アルバイト店員が刺殺されるなどの八王子通り魔事件が起きました。
死者・不明者23人の岩手・宮城内陸地震が起き、日本各地で「ゲリラ豪雨」や「局地豪雨」などと呼ばれる局地的な激しい雷雨による被害が頻発しました。
ICOCAとSuicaの電子マネーが相互利用が開始され、さらにSuica・ICOCAとTOICAの相互利用が開始され、PASMOがSuicaの仙台エリア・新潟エリアでも鉄道利用可能となりました。
自動販売機でタバコを購入する際に顔写真入りICカードであるtaspoが必須なりました。
車の後部座席でのシートベルト着用の義務化や75歳以上のシルバードライバーへの「もみじマーク」の表示義務付けされ、“くいだおれ人形”で有名な老舗料理店「大阪名物くいだおれ」が営業を終了し、年金記録の改ざんなどの年金記録問題が起き、北京オリンピックが開催されました。
NTTドコモがPHSサービスを終了し、京セラが三洋電機の携帯電話事業を総額500億円で買収し、ソフトバンクモバイルがApple製のスマートフォンであるiPhone 3Gを販売開始しました。
経済
人材派遣業大手グッドウィルが違法な二重派遣などにより廃業し、みずほコーポレート銀行がサブプライムローン問題で損失が拡大した米メリルリンチに対し優先株式12億ドル分の購入による金融支援を行うことを発表しました。
松下電器産業が社名を「パナソニック株式会社」とし、パナソニックが大株主三社と三洋電機の買収に関する協議を行い、三越と伊勢丹が経営統合により三越伊勢丹ホールディングスとなり、弁当店「ほっかほっか亭」をフランチャイズとして運営していたプレナスが「ほっともっと」ブランド立ち上げ、明治製菓と明治乳業が経営統合により明治ホールディングスとなり、髙島屋と阪急阪神ホールディングスを傘下に持つH2Oリテイリングの両社が経営統合する計画を発表、ローソンがam/pmの買収提案を行いました。
米シティグループが日興コーディアル証券を完全子会社化し、三菱UFJフィナンシャル・グループが米モルガン・スタンレーに対する90億ドル・議決権の21%相当の出資し、北洋銀行と札幌銀行が合併により北洋銀行となり、三井住友海上とあいおい損保とニッセイ同和損保の損保大手3社が2009年秋にも合併の合意を発表しました。
米デルタ航空がノースウエスト航空またはユナイテッド航空と合併交渉に入ることを発表し、マイクロソフトがヤフーに対し446億ドルでの企業買収提案し(ヤフーは後に提案を拒否)、JPモルガンがベアー・スターンズを救済買収し、三菱UFJがモルガン・スタンレーへの出資し、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに総額500億ドルで救済買収されました。
不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人が負債総額は1123億円で倒産し、大和生命保険株式会社が負債総額約2,695億円で経営破綻、遊園地エキスポランドが負債16億円で経営破綻、不動産ディベロッパーダイナシティが負債総額520億円で経営破綻、マンション販売康和地所が負債総額143億5000万円で経営破綻しました。
各国と日本の金融危機対策
10月3日に米議会で金融安定化法が成立し最大7000億ドルの公的資金を投入し、11月9日に中国政府が4兆元(約60兆円)の経済対策を発表しました。
11月14日に金融システムと世界経済の安定を図ることを目指して初のG20サミットを開催され、12月16日にFRBが初の事実上のゼロ金利政策と量的緩和策を発表しました。
10月30日、麻生太郎首相、記者会見で総事業規模26兆9,000億円の追加経済対策概要を発表、同時に、3年後の消費税率引き上げ案、及び現時点での衆議院の解散・総選挙はないことを明言しました。
10月31日、日本銀行が金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.3%程度に引き下げることを決定。
12月19日、日本銀行は政策金利の誘導目標を年0.3%から0.1%程度に引き下げることを決定しました。
政治
6月11日、福田康夫内閣総理大臣に対し、史上2人目となる問責決議が参院本会議で民主、共産、社民、国民新の野党4党などの賛成多数で可決されました。
7月7日 – 7月9日、日本が開催国となる第34回主要国首脳会議(G8サミット)が北海道洞爺湖町で開催ました。
8月1日、福田康夫首相は政権発足11ヶ月目にして自由民主党役員人事の刷新と内閣改造人事を行いました。9月1日、福田康夫首相は辞意を表明しました。
9月22日、自由民主党総裁選挙を挙行する為の両院議員総会を開催、麻生太郎幹事長が351票を獲得、第23代自由民主党総裁に選出され、直ちに総裁に就任しました。
9月24日、福田康夫内閣が総辞職しました。在任期間は365日、日本国憲法下では史上7位の短命政権でした。
福田康夫内閣総辞職により第170回国会臨時会召集され、日本国憲法第67条の規定に則り、衆議院で自由民主党の麻生太郎総裁が第92代内閣総理大臣に指名されました。
海外
2008年ゴールデン・グローブ賞の表彰式がアメリカ合衆国脚本家組合のストライキの影響で中止されました。
中国河北省の工場で製造された冷凍餃子や食材から殺虫剤などに使用される有毒成分メタミドホスが検出された冷凍餃子中毒事件が起き、ソウルの崇礼門が放火により焼失し、6万9000人以上が死亡した中国四川省でM8.0の四川大地震が起きました。
ロシア大統領選にメドヴェージェフが当選しプーチン前大統領は首相になり、バラク・オバマが黒人初のアメリカ合衆国大統領に当選し、米政府が核計画の検証手続きに関して合意した北朝鮮のテロ支援国指定を解除しました。(日本政府は、10月13日に北朝鮮に対する経済制裁の半年間延長を閣議決定)
203人が死亡し1000人以上が負傷し403人逮捕されたチベット暴動が起き、ロシアがグルジア侵攻し、インド西部ムンバイで銃乱射や爆発を伴う同時多発テロが起きました。